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2000年に始まる景気回復期においてもう好景気とは言いながら平均的な給与水準はむしろ低下トレンドにあったわけですが、これには雇用形態の多様化や団塊世代の退職といった要因に加え、そうしたグローバルな背景があるのです。
今後も状況が劇的に変わるとは考えにくいでしょう。
中国の一部地域などでは賃金の急上昇も見られますがまだまだ日本の賃金水準には遠く及ばない貧しい国や地域が世界的には大半を占めているからです。
さらには給与水準がたとえ横ばいを維持したとしてもう先に見たように税金や社会保障負担からなる国民負担の増大が必然である以上、手取り顔(可処分所得‥収入り〔税金+社会保険料〕)が大幅に減ってしまうこともまた必然でしょう。
したがって、老後世代のみならず、現役世代についても別途、追加的な収入の道を確保しておくことが必要なのです。
収入の柱はあくまでも給与収入だとしてもそれだけでは心許ないということです。
そうした観点から資産運用の知識は国民が身に付けるべき必須の基礎知識として明確な位置付けを与えるべきです。
これからの時代では情報や知識が勝敗を分けると言われますが個々人においてもう資産運用の勉強を行うことが一層重要になってきたのです。
そしてまた、どのような人生の目標を達成するにも経済的自立が前提となります。
お金自体は究極の目的でも何でもなく、あくまでもよく高次の目標のための手段にすぎません。
しかしだからこそ、資産運用の知識でしっかり武装したうえで財産をできるだけ効率よく運用し管理しお金にまつわる不安を軽減することが大切なのではないでしょうか。
それでこそ、より大きな目標に向かって主たる任務に専念することができるからです。
いま日本人に必要なのは自信を取り戻し、活力ある経済・社会を蘇らせることです。
しかし、この閉塞感を打破するためには経済的な安心感が前提となります。
有効に戦略的に利用するか国民全体として真剣に考えるべきです。
そうした観点から政府も先に見たとおく「貯蓄から投資へ」を合言葉に投資を一層普及させようと旗を振っているのです。
投資においては税制・法制や資本市場の環境整備が非常に重要な意味を持ちますが政府もその重要性を当然認識しており、したがって、投資に著しく不利になるような制度変更が行われることはないと信じたいところです。
むしろ、さまざまな形で投資を後押しするような制度改訂が期待されます。
その意味でたとえば複雑を極める証券税制については極力シンプルなものに改めるべきでしょう。
ここまでで一人ひとりが何をしなければならないかも自ずとはっきりとしてきます。
もちろん最優先で努めるべきはよく働き、生産効率を高め、国としての強靭な経済体質、および個人としての安定した給与水準を獲得することでしょう。
とはいえ、どのようなリスクケースにも対処できるよう、あらゆる面からきちんと対策を講じておくこともまた重要です。
このことから資産の保全ということがl躍脚光を浴びているのです。
個々人の資産運用についても歴史におけるステージの転換、あるいは日本国の経済構造の大変化に対応できるように、抜本的に見直す必要がますます高まっています。
資産運用とはまず、そのようなリスクに備えるための自己防衛手段として行うべきものと考えられます。
そうして資産設計を立てることでより重要な自己実現にも前向きに取り組むことができるのではないでしょうか。
資産運用、マネープランとは単なるお金の問題にとどまりません。
まさしく人生設計、ライフデザインの重要な一環なのです。
とはいうものの、繰り返しになりますが資産運用とは重要な手段ではあってもあくまでも従属的な手段にすぎません。
特に現役時の仕事から得られる収入とその蓄積である資産を柱とすべきことは言うまでもないのです。
広い意味で最も効率的な投資は自分への投資です。
そのうえでリスクヘッジとしてあるいはまた、追加的な収入を得る道を確保する手段として、資産運用を計画的に行うべきなのです。
金融や投資の専門家を別として毎日、資産運用のことばかりを考えて生活するのは決して健全な生き方だとは言えません。
最低限の資産運用としてはまず初めにしっかりとしたポートフォリオを作り定期的なチェックとリバランス(ポートフォリオを元に戻す作業)を行うことで十分なのです。
趣味として株式や為替のデイトレーディングを行うのも経済や金融などの情報に強くなるという効用などがあり、決して否定できません。
「ギャンブル依存症」のようにトレーディングにのめりこみ身を減ぼしてしまうのでない限り、短期的な「投機」にも意義はあるのです。
しかしここでは資産運用の王道である長期のマネープランという観点から投資の意義について考えていきたいと思います。
資産運用に対する日本人の考え方を観察してみましょう。
日本人は資産運用についてもともと保守的で安定志向が強いと言われます。
また、国民性として、運用が苦手で米国人などに比べ投資に向いていないと言われることもあります。
果たしてこれは本当のことなのでしょうか。
必ずしもそうではないというのが率直な印象です。
たしかに日本人の金融資産に占める預貯金の比率は約半分と、先進国のなかでも突出して高い水準となっています。
米国ではわずか10%台です。
このように従来、日本人は預貯金志向が強かったのは事実です。
しかし、これは本来的に資産運用を敬遠しているためではなくこれまではあえて積極的に資産運用を行う必要がなかったためにすぎないと思われます。
預貯金金利が高水準で公的年金制度も充実しており、将来の賃金も終身雇用と年功序列によりある程度予想が付く。
そうした環境ではたしかに積極的な資産運用を行う必要はないでしょう。
しかし一方では少数派ではありながら、非常に積極的な投資家あるいは投機家も存在してきました。
こちらは預貯金だけに資産を振り向ける人とは対照的に極めて短期的な売買を好んで行っている人が多いようです。
「デイトレーダー」と呼ばれ、一日に何回も株式や為替の売り買いを行う人などはその典型でしょう。
また、同じ人の資産内訳にしても大きな部分を預貯金として非常に保守的に管理する一方、残りの部分では大きなリスクをとって極めて活発に株式売買などを行っているというようなケースも見受けられます。
共通するのは預貯金と投資とを峻別する考え方です。
しかしこうした発想に対しては今となっては違和感を禁じ得ません。
今まで日本では預貯金と投資を全く別々に考え、預貯金は安全に貯めておくもの、投資は大きなリスクをとって大きなリターンを狙うもの、と捉える傾向が顕著でした。
しかしそうした二分法は必ずしも正確ではないのです。
預貯金にしても実際にはさまざまなリスク(銀行が破たんするリスクや金利がインフレ率を下回るリスク。
また、より高い収益機会を逃してしまうという機会損失リスク)を伴うわけで、正確には立派な投資の一種です。
その意味では先に見た「貯蓄から投資へ」というスローガンも厳密なものではないのです。
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